研究概要 |
シミュレーション型動画像解析のためのモンテカルロモデリング法の基礎技術の一つとして,動画像中の物体の挙動を追跡するための統計的運動モデルを提案し,関連するソフトウェア群を開発・実装した.このモデルは,画像中の局所的な特徴量から局所的な運動を推定し,それに基づいて大局的な運動推定を行うものである.局所的な画像特徴量を利用することで,統計的運動モデルを適応的に変化させることができる.この運動モデルをシミュレーション型時系列フィルタリングの手法に基づいてアルゴリズムを構築した.広く利用されている従来モデルのいくつかと比較検証し,高精度かつ追従性が高いことを実証した.さらに,局所的な画像特徴量の計算コストは高くないため,アルゴリズム全体としても高速に動作する利点もある.標準的なパーソナルコンピュータでの処理時間は,100×100画素程度の大きさの物体に対して,15ミリ秒/フレーム程度であり,ビデオレート以内の処理を達成している. この運動モデルは,動画像中の物体位置の時間的変化を記述する.本研究課題では,このモデルにさらにさまざまなモデルを追加していき,モンテカルロモデリング法を発展させていく.すなわち,本年度の研究成果は,次年度以降の研究を展開していくうえでの基盤となるものである. 以上を要するに,本研究の基盤となる手法を提案し,その検証を行っていることから当初の目標を十分に達成している.
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