研究概要 |
コンクリート表面のひび割れ検査は、構造物の安全性を検査・診断する上で重要な項目である。本研究では、従来、専門家による目視に頼っていたひび割れ検査に対して、画像処理を適用することにより、自動的でかつ高精度な検査技術を確立することを目的としている。本年度は(1)ひび割れ幅計測の高精細化、(2)ひび割れ検出の高精度化の2つについて特に注力した。 ひび割れ幅の計測では、クラックスケールを画像中に写り込ませ、クラックスケールの目盛り幅毎の輝度値を用いることによって、キャリブレーションを行い、画像内のひび割れ幅を実寸で測定する。輝度を用いる場合、照明むらの影響が問題となるが、計測する対象の幅が太くなるに連れて計測精度が減少するものの、幅が細いところでは照明が均一でなくとも、サブピクセル精度の0.1mm未満で計測可能であることを実験で確認し実用性を示した。 高精度なひび割れ検出を実現するため、先行研究として提案しているパーコレーションモデルによる画像処理を基に、ひび割れ検出手法を改善した。浸透領域の形状情報と輝度情報を利用するパーコレーション過程を検討し、特にコントラストの低い領域でのひび検出に有効であることを実験的に示した。提案手法は可変局所処理の一種であるが、窓枠の大きさではなく、浸透領域の長さを判定基準に導入することにより、ノイズ除去も可能であることを示した。 今後は,現状では各処理におけるパラメータの設定が手動設定である部分が多いため、自動化及び効率化する手法を検討する必要がある。
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