本研究では、緊急地震速報を受けた直後など、緊急時に人間がとるべき行動を、人間の動作や状況の変化に応じて適宜指示する実時間行動指示システムの構築に関する研究を行う。緊急時には人間がパニックになり、どのような行動をすればよいか判断能力が落ちる場合がある。本研究では、このようなパニック下の人間にわかりやすく指示可能なシステムを構築するために求められる、実時間での状況認識、人間の行動認識、状況変化に合わせた人間への行動指示生成を可能とする基本技術を開発し、状況の変化に合わせて人間に適宜適切に指示を与えるシステムの実現が目標である。 本年度は、音声による聴覚への提示だけではなく、より人間により理解しやすい行動指示法として、昨年度提案した、環境に設置されたプロジェクタを用いて室内で一時的に避難するための安全領域を提示する手法について、どのような提示法がより効果的かを実験によって評価を行った。その結果、安全領域をプロジェクタで提示することと、音声による簡潔な指示を組み合わせることによって、わかりやすく避難行動を指示できることがわかった。また、プロジェクタで安全領域だけでなく、安全領域までの矢印を床に提示することによって、よりわかりやすく避難行動を指示でき、かっより迅速に避難行動を誘発することができることがわかった。本年度に行った提示法の実験による評価によって、より人間に理解しやすい行動指示の例が示されたことから、本年度の研究成果の意義は大きい。
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