研究概要 |
聴覚は他者とのコミュニケーションなどで重要な感覚であり,人間と共生する次世代知能ロボットにとって高性能な聴覚システムの開発は必須である.本研究では聴覚ロボットの動作・制御技術の基礎を解明することを目的とし,特にロボットがその身体をダイナミックに動作させることで音源方向に体を向けることや,対象物との距離を適切に保つなどアクティブな聴覚機能の実現を目指している. 本年度は音源定位動作において,ロボット自身がダイナミックに動作を行う際に問題となる不確かさについてまず検討した.不確かなダイナミクスの存在下にあってもロボットが適切に動作を行えるような制御系の構成を対象とした時,適応制御の手法を導入することで良好な成果が得られることを示し,実際に実験的にこれを明らかにした.併せて,聴覚ロボットが音信号を受聴しながら空間内を移動する場合,ロボットの位置情報と聴覚信号を組み合わせることで広い空間内の音源位置を探索する方法も検討したところ,音源方向へ頭部を動作し続ける制御が音源定位能の向上に有用であることが示された.また本年度は20年度にこの手法を拡張することを考え,聴覚ロボット装置の拡張を行っている. 本課題を遂行する上で必要な関連事項としてロボットの移動機構の動作・制御についても検討を行っている.加えて音環境の制御についても考察した.
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