本研究は、ロボットと人間が一緒に作業する場合に人間が誤りを犯す可能性があるかどうかをロボットに認識させるための基礎技術を研究するのである。将来、ロボットと人間が一緒に作業する場合にはその安全確保が最重要課題となる。ロボットそのものに起因する危険性に対する安全技術についてはこれまでさまざまな研究の報告がなされているが、人間の側に起因する危険性に対する安全技術についての研究はまだ十分な知見が得られていない。一課股に機械側の限界を起えるような人間の誤った判断や行動はヒューマンエラーと呼ばける。危険をもたらすようなヒューマンエラーについて、その様態は状況に応じて様々であるが、しかしヒューマンエラーが発生しやすい条件は一般的に議論することができ、客観的な検出が可能である。このような、人間の信頼性を決定する要因をパフォーマンスシェーピングファクター(PSF)と呼ぶ。これは例えば、人間の性向や熟練度、疲労などである。PSFをロボットのセンサ系によって評価することによって、ロボットの動作速度を調節するなど効率と安全性のバランスを決定するような調節をリアルタイムで実施できるようになる。本研究ではパワーアシスト型の次世代ロボットを想定して機器の操縦履歴をサンプリングし、これの統計的な分散を分析した。この結果、個々人の操作の熟練度を客観的に観測できることがこれまでに確かめられた。また操縦履歴には熟練度の情報以外に操縦者固有のパタンも隠きれており、これを個人の既知のPSFと紐付けして利用する安全技術も実現可能であることが分かった。実験の結果、機器の操縦履歴からパタンを抽出することにより、高い識別率で操縦者を弁別できることが確かめられた。
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