本研究の目的は、配置決定問題におけるメタ戦略アルゴリズムについての検討を行うことである。本研究ではまず、実用的な配置決定問題として、波長分割多重(WDM)技術におけるネットワーク配置の最適化についての新しいメタ戦略アルゴリズムを提案し、従来手法との比較を行うことで、提案手法の有効性についての検討を行った。WDM技術とは、1本の光ファイバ上に波長の異なる複数の光信号を並列的に伝送することで、光ファイバを新たに増設することなく高速かつ大容量の通信を実現する技術である。WDM技術において、ネットワークの各ノードに可変波長の送受信器が備えられている場合、各送受信器の波長割当を変更することで、ネットワークの論理トポロジーを変更することが可能である。そこでネットワークを再構築する場合、ネットワークの伝送効率が最大となるノード配置(論理トポロジー)を求めるアルゴリズムが必要となる。本研究では、規則的な論理トポロジーである双方向マンハッタンストリートネットワーク(BMSN)を対象として、ネットワーク性能を最大とする波長割当てを求める手法についての検討を行った。具体的には、この問題に対してIterated Greedy (IG)アルゴリズムにk-opt局所探索法を組み入れた新しいアルゴリズム(IGKLS)を提案した。提案したIGKLSは、従来用いられているメタ戦略と比べてシンプルであり、前もって設定すべきパラメータが少ないにもかかわらず、非常に効率よく解を探索することができるという特徴をもっている。また、シンプルなアルゴリズムを用いているため、様々な問題へIGKLSを容易に適用することが可能であると考えられる。実験では、本問題に対して、提案手法と従来手法との比較を行った結果、従来手法よりもより優れた解を発見することができ、提案手法が効率よく解の探索を行えることを示すことができた。
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