本研究の目的は、配置決定問題におけるメタ戦略アルゴリズムについての検討を行うことである。申請者は、昨年度、ネットワーク配置決定問題に対する新しいメタ戦略を提案している。この手法は、従来用いられているメタ戦略と比べて非常にシンプルなアルゴリズムであり、前もって設定すべきパラメータが少ないにもかかわらず、非常に効率よく解を探索できるという特徴を持っている。また、非常にシンプルなアルゴリズムであるため、様々な問題への適用が容易に可能であると考えられる。しかし、ネットワーク配置決定問題において、他手法との詳細な比較が行われていなかったため、具体的な性能はまだわかっていなかった。そこで、本年度(平成20年度)において、従来手法との比較を詳細に行った。信頼性を高めるために、シミュレーションに用いたネットワーク配置問題は、公開されている問題例を使用した。シミュレーションの結果、解探索能力および計算効率のすべてにおいて提案手法が最も優れた手法であることを示すことができた。特に問題サイズが大きくなるほど提案手法の有効性がより大きくなることがわかった。また、基本的な配置決定問題の一つである矩形ピースジグソーパズル組み立て問題についての検討も行った。ここでは、より大規模な問題へのアルゴリズム開発を目的として、効率的に解を求めるための評価値等の検討を行った。提案した評価値が大規模なパズル組み立て問題に対して有効に働くことを示した。ここで提案した評価値はパズル組み立てのための評価値であるが、この評価値は一般的な配置決定問題へも拡張可能であり、様々な大規模な配置決定問題で適用できると考えられる。今後の課題として、様々な配置決定問題へ提案手法を適用することが挙げられる。
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