研究概要 |
デジタルスパイクニューロン(DSN)は複数のシフトレジスタを結線した系であり,簡素化されたニューロンモデルの様な動作を繰り返してスパイク列を発生する.また,レジスタ間の結線パターンに依存して,DSNは様々な特性を持つスパイク列を発生できる.本研究の目的の一つとして「スパイク列の特性の基本的な性質の理論と実験の両面からの解析」を挙げていた.この目標に対して,今年度の研究においては「DSNの結線パターンの変更とそれに伴う出力スパイク列の特性の変化の基本的な関係」を理論的に導出した.またもう一つの目的として「アナログニューロンモデルのダイナミクスを模擬するためのDSNの学習アルゴリズムの開発」を挙げていた.これに対して今年度の研究においては,「これまでに得られた理論解析結果と本研究で新しく得られた理論結果の両方を応用した新しい学習アルゴリズム」を提案し,数値実験により学習の特性を解析した.その結果,提案アルゴリズムを用いることにより,DSNが簡素化されたアナログスパイクニューロンモデルが発生する様々なスパイク列を近似できる事を示した。また,DSNとその新しい学習アルゴリズムをハードウェア記述言語(Hardware Description Language: HDL)で記述して,その動作を論理回路シミュレータを用いて確認した.さらに,DSNとその学習アルゴリズムを再構成可能デジタル回路の代表例であるField Programmable Gate Array(FPGA)に実装し,その動作を実回路を用いた実験で確認した.
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