研究概要 |
ファジィ制御についての最適制御問題を関数解析の手法で考察した. 本研究では大別して2つの事実を導いた.一方はファジィ集合族,すなわちIF-THNEルールを構成するファジィ集合であり,本質的にはメンバシップ関数対の集合に関する性質である.これまでに行われた同様の研究において,前件部のメンバシップ関数は状態方程式の解を存在させるために連続でなければならなかった.すなわち前提条件のファジィ集合のメンバシップ関数として階段関数のような不連続関数を採用することは不可能であった.また,前件部と後件部のメンバシップ関数の性質の違いにより,逐次近似等においてパラメータ等の設定を2種類設けなければならなかった. これに対し本研究では,IF-THENルールの前件部変数をクリスプな変数からファジィ数である変数に置き換えることにより,後件部と同条件のメンバシップ関数を用いことができることを確認した.ファジィ数としてL-R型を採用し,このファジィ数のメンバシップ関数にリプシッツ条件が伴っていることにより,前件部のメンバシップ関数のリプシッツ条件を取り除くことが可能となった.本研究ではこの要素をファジィコントローラと名付け,この集合族の位相的性質であるコンパクト性を証明した. この性質はGAやニューラルネットワークを使ったIF-THENルールの構築及びチューニングにおいて逐次近似の解の収束性に大きな影響を与えるものである.また,メンバシップ関数の属する空間として定めたL∞空間は不連続関数も要素としてもつ.これは様々な形のメンバシップ関数の自動生成において大変有用な空間であるといえる. 他方は,ファジィ推論法の連続性である.メンバシップ関数集合族上の汎関数としての連続性と状態変数を定義域としたときのリプシッツ連続性を証明した.この事実の一つは最適制御をもたらす解の存在性をもたらし,もう一方の連続性は付録にて後述する状態方程式の解の一意存在に寄与する. 今後得られた事実を実制御に適用し,解の探索方法に関しても検討すべきであると考える.
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