研究概要 |
Cellular Neural Network(以下,CNN)の問題点として,識別対象となる課題サイズが大規模になった場合,CNNを構成するセル数も多くなり,漸近安定平衡点までの収束には多大な計算量を必要とするとともに,識別能力も低減することが考えられる.そこで当研究代表者は分割階層型CNNの研究に着手した.このときCNNに対して適切な学習パラメタ値を試行錯誤的に割り当てなければならないが,このパラメタ設定の自動化実現が,提案手法一般化の鍵となる.3年間の研究計画の中で,1年目は進化的構造適応学習法の改良,その有効性の再検証を行い,本手法の工学的な位置づけを明確にすることであった.さらに,提案手法の有効性検証の実アプリケーションとして,顔表情の識別実験を行うことを計画した. 進化的構造適応学習法は,GAを用いてニューラルネットワークの最適化を行う手法である.従来,小規模のネットワークモデルへの適用例はあったが,小規模モデルではGAが効果的に機能しているか評価することが困難であった.そこで大規模ニューラルネットワークと砂時計型ニューラルネットワークに対して進化的構造適応学習法を適用して,顔表情の学習を行った.顔表情として,喜び,悲しみ,嫌悪,怒り,恐れ,驚きの6つについて4枚ずつと無表情1枚の計25枚の撮影を行った.この撮影を7人に対して行った.撮影した画像は顔部分を切り出し,これらを顔画像データとした.GAが学習に対して効果的に機能しているか調査するため,顔画像の学習に特化した初期結合荷重を探索することを目的として実験を行った.一般的には,ニューラルネットワークの結合荷重は,ランダムに決定するが,進化的構造適応学習法を用いることにより,複数人の顔画像に対して,ランダムサーチで得たものよりも高速に誤差が収束する初期結合荷重を得ることに成功した.
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