研究概要 |
昨年度までの研究で、独立部分空間分析を旗多様体上の最適化問題に還元することにより解いてきた。そこで考察してきたのは互いに直交する部分空間からなる旗多様体であったが、本年度はこの拡張を試みた。一つは部分空間が直交するという条件を緩めること、いま一つは部分空間よりも一般の多様体を考察することである。 前者は既に先行研究があり、コンピュータビジョンの分野で、必ずしも直交しない、より一般の配置にある部分空間の族(部分空間配置)を考察する代数幾何的手法がR.Vidal,Y.Ma、S.Sastryにより提案されている。後者に関して、多様体を考察する根拠は、ある個人の顔画像などの特定のパターンの集合を集めると、顔の向きや光線の当たる向きなどの変位から、それらはユークリッド空間内の部分多様体上にのっていると近似的にとらえられるためである。近年この多様体構造を学習する様々な学習アルゴリズムが提案されている(Isomap,局所線形埋め込み、ラプラシアン固有マップ等)が、複数のパターンに対応する、交差する複数の多様体からのサンプルを用いて元の多様体を復元する手法は未だ確立されていない。この多様体配置の問題を部分空間配置と多様体学習の研究を参考に(人工知能学会研究会資料)考察したが今年度は解決に至らなかった。各サンプルの近傍で多様体を線形近似する、局所線形埋め込みアルゴリズムのアイデアを使えばよいと思われる。あるいは現れる多様体が全て特殊なクラス(例えば二次曲面)に属するという制限を課すことが有効であるかもしれない。今後の研究課題としたい。
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