研究概要 |
近年,製造業において,最適化理論に基づくスケジューリングが実用になった。また,情報システムの重要性が高まり,業務の効率化が進められた。しかし,製造業に原材料を供給する素材型産業や食品加工業等,従来の理論がそのまま適用できない分野も依然として存在する。 本研究では,分解型工程を有する素材型産業を対象とした,生産スケジューリング手法の開発行った。今年度は,鉄鋼業における鋼板製造を例として分析,スケジューリング手法の提案,数値実験を行った。 まず,問題の定式化と解空間の特性に関する分析を行った。鋼板製造工程に関する調査を行う。現状の鋼板製造の現場についての調査結果を基に,鋼板製造スケジューリング問題を一般化したモデルを定式化した。また,既存の鋼板製造スケジューリング・システムに関する調査を行った。 次に,ディスパッチング・ルールをベースにしたスケジューリングの改良についての研究を行った。前項で作成したモデルの下で実験データを作成し,そのデータに基づく最適スケジュールのサンプルを作成する。このサンプルを元に,決定木によるディスパッチング・ルールを生成する方法を提案し実装した。 次に,メタ戦略を用いた解の改善についての研究を行った。ディスパッチング・ルールによって作成されるスケジュールの改善についての研究を行った。ルールベースのスケジューリング手法は,一般には完全な最適解にはならず,改善の余地が残されている。スケジューリング問題のように,多峰性の解空間から最適解を探索する方法としては,メタ戦略に関する研究が数多く行われている。ここでは,ルールベースで求められた一点の解を基点として多目的メタ戦略手法による改善の数値実験を行った。
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