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2008 年度 実績報告書

脳波・脳磁図計測時計算モデルを用いた音の補完現象の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19700244
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

杉本 俊二  豊橋技術科学大学, 工学部, 助教 (50422811)

キーワード事象関連電位 / 音声 / 計算モデル / 2次線形システム / 聴覚誘導
研究概要

本実験の目的は、脳波/脳磁図計測により、音の補完(聴覚誘導)、特に音声の補完にかかわる事象関連電位(ERP)を明らかにするとともに、神経応答のコンピュータシミュレーションを用いて、音声に対する事象関連電位をモデル化し、音声の符号化に関連した神経機構を明らかにすることである。特に、音声の時間周波数情報が、聴覚皮質の神経集団によってどのように符号化されERP成分として現れるかについては、これまでほとんど明らかになっていない。本年度においては、昨年度までの研究成果を踏まえ、音声に対するERP成分の大部分はその音声の振幅変化によって引き起こされる2次線形システム応答であるという仮説を立てた。この仮説に基づき、純音刺激に対して観察されたERP成分(N1, P2)を用いて、音声刺激に対するERP波形を予測する計算モデルを作成した。純音に対するERP成分ごとに構成した並列な2次線形システムへ音声の振幅変化を与え、実際に頭皮上で観察されたERPと比較したところ、モデルの予測能力が確認された。特に、約5Hzの周波数成分からなる陰性成分と、約2Hzの周波数成分からなる陽性成分が、音の振幅成分の検出と遅い振動形成にそれぞれ寄与していることが示された。本年度における研究結果の意義は、聴覚誘導の研究を通じて音声に対する符号化処理の基礎を調べ、計算論的神経モデルにより音声に対するERP成分を予測した結果、予測が可能であるという画期的成果が得られたことである。本成果から、並列な2次線形システムとして再現可能な各神経集団の活動が音声符号化の基礎になっているという重要な示唆が得られた。本結果は、聴覚神経系が音節を強調的に検出するためのフィルタ機構として働いていることを示唆しており、本成果は、音声の意味的・統語的処理の理解へ向けた新たな脳研究の発展に貢献すると思われる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 音声に対する事象関連電位のモデル化2009

    • 著者名/発表者名
      杉本俊二, 山口陽子, 堀川順生
    • 雑誌名

      豊橋技術科学大学グローバルCOEプログラム「インテリジェントセンシングのフロンティア」第2回"センシングアーキテクト"による発表会最先端インテリジェントセンシング研究開発2009資料集

      ページ: 150-151

  • [雑誌論文] 聴覚事象関連電位のモデル化2008

    • 著者名/発表者名
      杉本俊二, 塚原伸亮, 池田尚生, 山口陽子, 堀川順生
    • 雑誌名

      日本音響学会聴覚研究会資料 Vol.39, No.7

      ページ: 677-681

  • [学会発表] 音声に対する事象関連電位を予測する計算モデル2009

    • 著者名/発表者名
      杉本俊二,塚原伸亮,池田尚生,山口陽子,堀川順生
    • 学会等名
      日本音響学会2009年春季研究発表会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2009-03-18
  • [学会発表] 音声に対する事象関連電位のモデル化2009

    • 著者名/発表者名
      杉本俊二,山口陽子,堀川順生
    • 学会等名
      豊橋技術科学大学グローバルCOEプログラム「インテリジェントセンシングのフロンティア」第2回"センシングアーキテクト"による発表会
    • 発表場所
      豊橋技術科学大学
    • 年月日
      2009-03-04
  • [学会発表] EEG analysis of auditory induction of spoken words2008

    • 著者名/発表者名
      Naoki Ikeda, Shunji Sugimoto, Junsei Horikawa
    • 学会等名
      第13回聴覚研究フォーラム
    • 発表場所
      同志社びわこリトリートセンター
    • 年月日
      2008-12-06

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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