研究概要 |
平成22年度は,アンサンブル学習法の生存時間研究への応用,および昨年度からの継続研究であった,ルールフィット法の論文化に向けた研究の深耕を行った.アンサンブル学習法の生存時間研究への応用に関しては,2010年度統計関連連合大会にて発表を行い,また,電子情報通信学会技術研究報告に,論文が掲載された.そこでは,ランダムフォーレスト法を生存時間データに拡張する方法を提示しているアンサンブル学習法の生存時間データへの研究はほとんど行われておらず,先駆的な研究であると考えられる.そして,生存時間ランダムフォーレスト法は,予後の悪い(あるいは良好な)患者の要因を提示できることから,癌患者の治療選択方法の確立を行うための統計的ツールとして期待できる.また,ルール・アンサンブル法については,日本計算機統計学会第24回大会において,昨年度からの継続研究についての報告を行った.その後,この方法は,日本応用統計学会誌への掲載が決定した.また,ルールフィット法の研究については統計的方法の研究だけでなく,応用面での展開についての発表を行っている.そこでは,緩和ケアの実態調査に関するアンケートにルールフィット法を活用することで,緩和ケアに従事する看護師の悩み・苦悩に影響を与える要因を提示し,緩和ケア講習が,緩和ケアスキルの向上だけでなく,患者・家族とのコミュニケーション向上に大きな役割をもつことを提示した.因みに,この発表は,ファジィシステムシンポジウム2010にて報告している. 臨床研究における貢献では,2件の論文公表,1件の国内学会発表,4件の国際学会発表に臨床統計家として貢献している.とくに,国際学会発表では,ESMO Congress 2010において,Aural Presentationに採択された.
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