研究課題
本年度は、第一に、巨大自然画像に対して提案する独立成分分析アルゴリズムを適用して大規模数値実験を実行し、12×12ピクセルの小型画像と、64×64ピクセルの巨大画像からedge filterを抽出し、その性質の違いを詳細に調べた。その結果、edge filterの位置や選好角度の分布に関しては目立った違いは見られなかったが、edgeの形状に関しては、巨大画像から抽出されたものの方がより長く、より鋭いという性質を持つことを見出した。このことから、巨大画像は単なる小型画像の拡大ではなく、本質的に異なる統計的性質を持っているという興味深い可能性が示唆された。第二に、提案する独立成分分析アルゴリズムを、適応的主成分分析を組み込むことで改良した。それにより、信号選択フェーズにおいて大域的最適性が保証されるようになりかつ収束の判定が容易になり、より効率的かつ頑健なアルゴリズムを構築することに成功した。また、一般に独立成分分析で扱うことが困難な、データのサンプル数が少ない場合でも、改良アルゴリズムが高い性能を示すことを実証した。第三に、開発したアルゴリズムに対して、情報理論的な解釈を与えた。これにより、InfoMax原理等に基づく他手法との関連が明らかになり、提案アルゴリズムの本質的な性質の解明へと近づいた。また、この解釈を利用することで、これまで必要だったデータの前処理を省くことが出来るようになり、工学的な面でも、アルゴリズムの更なる効率化を実現することが出来た。
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Lecture Notes in Computer Science, ICONIP2007 4984
ページ: 635-642
Proceedings of IJCNN2008 1
ページ: 2532-2538