研究概要 |
本年度は,まず,時系列モデルにおける経験尤度を用いた変化点の検定・推定について,変化点問題の専門家である他大学の研究者と共同で研究を行いました.経験尤度を用いた検定統計量を提案し,その帰無仮説の下での漸近分布や変化点推定量の一致性等の漸近的な性質を明らかにしました.さらに,モンテカルロ・シミュレーションによる結果の検証や,地震や株価データを用いた実データ解析も行いました.この研究成果は共同研究者が学会等で報告し,学術雑誌に投稿準備中です. 次に,統計的高次漸近理論を応用した債券価格評価について,他大学の研究者と共同で研究を行いました.時系列解析の観点から,金利モデルの1つであるバシチェック・モデルの離散型を考え,残差が定常非正規過程に従うとして割引債の価格を高次まで評価しました.その結果,残差の非正規性,従属性が債券価格に与える影響が明らかになりました.この研究成果は共同研究者が学会等で報告し,本年度の学術雑誌に掲載されました. さらに,ジャックナイフ法を用いたWhittle推定量のバイアスを改善する手法について,国内外の研究者と共同で研究を行いました.修正したピリオドグラムを用いたWhittle推定量は,オーダー的にバイアスが改善することを明らかにしました.さらに,モンテカルロ・シミュレーションによる結果の検証を行い,自己回帰モデル等では,単位根に近いほど,より改善していることが明らかになりました.この研究成果は学術雑誌に投稿準備中です.また,最尤推定量とWhittle推定量の漸近分布やバイアスの差について研究集会で報告しました.
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