研究概要 |
HiCEP法は、マイクロアレイなど他の技術では不可能であった未知遺伝子を含む転写物の網羅的単離およびプロファイリングが全ての生物で可能な唯一の実験技術であるが、実験データ取得後の解析が労働集約型の一次元電気泳動)1-DE)パターン比較に基づく発現プロファイル解析法である。そのため、モデル生物で主に用いられているマイクロアレイ実験を行ったときに自動的に得られる"遺伝子発現行列"を作成するのがボトルネックとなり、それがデータ解析の高速化を阻む大きな壁となっていた。研究代表者はこれまでに比較したい1-DEパターンの正規化手法(Kadota et al., BMCBioinformatics, 2005)を開発してきたが、平成19年度はさらに視覚による評価を容剔こしつつ同一ピーク認識精度を向上させる一連の手法(GOGOT法 ; Kadota et al., Algorithms Mol. Biol., 2007)開発を行った。結果として、HiCEPの1-DEパターンを入力として、HiCEPの遺伝子発現行列を高精度に得ることが可能となった。これは、マイクロアレイ解析分野で数多く開発されている遺伝子発現行列からのデータマイニング手法をHiGEPデータにも適用可能であるということを意味するため、GOGOT法開発と平行してHiCEPデータに適用可能な様々なマイクロアレイ解析手法の比較検討も行った。平成19年度は、組織特異的発現遺伝子を検出する二つのマイクロアレイ解析手法について比較検討を行いROKU法(Kadota et al., BMC Bioinformatics, 2006)が有用であることを確認することができた(Kadota etal., Gene Regulation Systems Biol., 2007)。
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