研究概要 |
メタゲノム解析によって同定された遺伝子の中からペプチドグリカンを加水分解する酵素を探索し、ペプチドグリカンの各部位を特異的に認識する5つの酵素群に分類した後、さらに、立体構造を元に酵素の基質結合部位を推測することを目的とした。分類の結果、5つの酵素群のうちペプチド-ペプチド間を加水分解するEndopeptidaseが最も多く存在していた。また、基質結合部位を推測するために、メタゲノム解析された遺伝子のうち立体構造が推定できるものを調べた結果、約2,500個の遺伝子については立体構造を推定することが出来ると考えられた。立体構造から基質結合部位を予測するために、機能が良く調べられているLysozymeとEndopeptidaseである酵素ALE-1に対して、それぞれペプチドグリカンとの基質結合シミュレーションを行った。その結果、Lysozymeでは24個のアミノ酸残基が基質結合に関与すると推測でき、さらには、触媒残基も正しく推測できた。一方、ALE-1については、13個のアミノ酸残基が基質結合に関与すると推測できた。以上の結果から、メタゲノム由来の配列からドメイン検索と立体構造情報を用いて機能と基質結合部位を推定できうると考えられた。今後はメタゲノム情報を元に上記の解析を行えるシステムの構築が必要であり、これにより、高能率な酵素のデザインが行えるようになることが期待される。
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