研究概要 |
本年度は、生体分子の自由エネルギー地形解析システムの開発を行い、次の(A)(B)を実装した。 (A)自由エネルギー地形を表現するのに適した軸を多次元空間から抽出する機構の実装 自由エネルギー地形は、ある温度における多次元空間での目由エネルギーの分布を表示したものでめる。本提案では,フォールディング過程を解析する為に次の4つの指標を用いた。 (A-1)コンタクト数と慣性半径に対して自由エネルギーをプロット(立体構造形成とタンパク質の充填プロセスの解明) (A-2)水素結合数とコンタクト数に対して自由エネルギーをプロット(構造転換状態の解析) (A-3)水素結合数と二次構造を構成する水素結合数に対して自由エネルギーをプロット (A-4)水素結合数と慣性半径に対して自由エネルギーをプロット (B)自由エネルギー地形を隠れマルコフモデルで比較する機権の実装 本提案では,タンパク質のフォールディング経路を解析するために,確立モデルの一つである隠れマルコフモデルを用いた。隠れマルコフモデルは,「システムがパラメータ未知のマルコフ過程である」と仮定し,観測可能な情報からその未知のパラメータを推定することができる。本提案においてはシミュレーションにおけるタンパク質の状態遷移を確率的なモデルとして可視化した。 上記の(A),(B)を用いて分子動力学シミュレーションのトラジェクトリデ-タを解析することで,アミノ酸配列が似ているタンパク質でもフォールディング経路の違いを示すことが出来ることを明らかにした。
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