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2008 年度 実績報告書

接着分子による大脳皮質層形成メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 19700295
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

大石 康二  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80420818)

キーワード層構造 / 細胞間接着 / 大脳皮質 / ニューロン移動 / カドヘリン / プロトカドヘリン / 発生・分化 / 神経細胞
研究概要

哺乳類の大脳皮質は6層構造から成り、各層のニューロンはそれぞれの層で異なった投射パターンや遺伝子発現を有する。大脳皮質を構成するニューロンは、脳室付近の脳室帯・脳室下帯で前駆細胞から誕生し、脳表面側の辺縁帯直下まで移動した後に皮質形成に参加するが、層特異的な分化決定メカニズムについては未だその全容は解明されていない。我々はこれまでの研究から、カドヘリンファミリーのメンバーであるProtocadherin20 (Pcdh20)が皮質第IV層特異的に発現していることを見出しており、本研究ではPcdh20の生体内での機能解析を中心に検討を行った。
この分子のin vivoにおける機能を調べるため、RNA干渉法による発現抑制実験を、発生過程のマウス大脳皮質で行った。まず、293T細胞に外来性に発現させたPcdh20に対する発現抑制効果を調べることで、有効に作用するRNA干渉法用プラスミドを見出した。次に、このプラスミドを子宮内電気穿孔法により大脳皮質細胞に導入し、Pcdh20の内在性の発現を阻害した。その結果、この分子の発現抑制によって、皮質第IV層に正常に配置されず、第II/III層に位置することを見出した。さらに、この異常が現れる時期を検討したところ、ニューロンの移動には影響がなく、移動した後に最終的に皮質第IV層に配置される過程で異常が生じることを見出した。さらに、Pcdh20の抑制によって、皮質第IV層への分化決定が正しく行われないということを明らかにした。
本研究の結果は、ニューロンの移動終了後の過程の厳密な制御が、正常な大脳皮質層形成(細胞の配置・分化)に必須であることを示唆している。ニューロンの移動後の過程の重要性については、これまでほとんど議論されていなかったため、本研究は大脳皮質層形成機構の解明に新たな展開を与える可能性のあるものと考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 細胞外環境による大脳皮質層形成メカニズムの解析2009

    • 著者名/発表者名
      大石康二、刀川夏詩子、佐々木慎二、仲嶋一範
    • 学会等名
      第3回神経発生討論会
    • 発表場所
      岡崎
    • 年月日
      20090312-20090313
  • [学会発表] Pcdh20による大脳皮質層形成メカニズムの解析2008

    • 著者名/発表者名
      大石康二
    • 学会等名
      第31回日本分子生物学会年会・第81回日本生化学会大会合同大会(BMB2008)
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20081209-20081212
  • [学会発表] Regulation of cortical laminar formation by cadherin family proteins2008

    • 著者名/発表者名
      Koji Oishi, Kashiko Tachikawa, Shinji Sasaki, Kazunori Nakajima
    • 学会等名
      第31回日本神経科学大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20080709-20080711
  • [図書] Encyclopedia of Neuroscience (Neurogenesis)2009

    • 著者名/発表者名
      Koji Oishi
    • 総ページ数
      2673-2676
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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