今までに、カルシウムや反発性ガイダンス分子によりsytntaxin-1のタンパク量が成長円錐でのみ減少し、その結果、マクロピノサイトーシスによる神経突起伸長の抑制が起こる事を明らかにしている。平成19年度は、syntaxinlの局所的な発現調節メカニズムの解明を試みた。カルシウムや反発性ガイダンス分子によるsyntaxin-1の減少はカルパイン阻害剤では抑制できなかったが、プロテアソーム阻害剤でほとんど完全に抑制出来ることが分かった。しかもプロテアソーム阻害剤存在下では、カルシウム刺激によりポリユビキチン化syntaxin-1が蓄積することも分かった。従って、カルシウムによるsyntaxin-1の発現量の減少はユビキチン-プロテアソームによる分解によるものであることが明らかとなった。現在、syntaxin-1に結合し分解を担っていると思われる分子を解析中である。また、本年度はsyntaxin-1に結合する分子群のうち、マクロピノサイトーシスに関与する分子群を質量分析法を用いることによって同定することに成功した。それら候補分子によるマクロピノサイトーシスをsyntaxin-1の過剰発現により抑制できることを明らかにし、現在さらに解析を進めている。また、カルシウムによる成長円錐におけるマクロピノサイトーシスはアクチン繊維の脱重合を阻害することによりほとんど完全に抑制できることも明らかとした。これは今までアクチン骨格のみで説明されてきた反発性神経軸索誘導の研究に、新たに膜動態の重要性を提案するものである。この成果に関しては平成20年度内での誌上発表のため、現在論文を作成中である。
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