研究概要 |
今までに、カルシウムや反発性ガイダンス分子によりsytntaxin-1のタンパク量が成長円錐でのみ減少し、その結果、マクロピノサイトーシスによる神経突起伸長の抑制が起こる事を明らかにしている。カルシウムによるsyntaxin-1の発現量の減少はユピキチン-プロテアソームによる分解によるものであることを明らかとした。平成20年度にはsyntaxin-1に結合する分子群のうち、マクロピノサイトーシスに関与する分子群を質量分析法を用いることによって同定することに成功した。それら候補分子によるマグロピノサイトーシスをsyntaxin-1の過剰発現により抑制できることを繊維芽培養細胞を用いて明らかにした。また、カフェイン投与によるリアノジン受容体からのカルシウム放出がマクロピノサイトーシスを誘導すること、さらにカフェインにより誘導されたマクロピノソームの面積は成長円錐表面膜と逆相関することを初めて示し、マクロピノサイトーシスによる大規模な細胞膜の回収が反発性軸索誘導のメカニズムである可能性を示した(Kabayama etal., 2009)。また、カフェインによるマクロピノサイトーシスはアクチン繊維の脱重合を阻害することによりほとんど完全に抑制できることも明らかとした。これは今までアクチン骨格のみで説明されてきた反発性神経軸索誘導の研究に、新たに膜動態の重要性を提案するものである。さらに平成20年度はゴルジに局在するSyntaxin-6が神経栄養因子(NGF)依存的に神経突起先端に輸送されること、また、Syntaxin-6のcoiled-coilドメインがNGF依存的な神経突起伸長を制御していることも明らかとした(Kabayama et al.,2008)。
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