GDAP-1は、CMT病の原因遺伝子の一つとされ、発症に関わるGDAP-1遺伝子上のさまざまな塩基置換や欠損の変異が報告されてきている。本年度は、GDAP-1機能を調べるためにGDAP- 1全長、もしくは発症の報告例のある1アミノ酸置換変異体を発現する大腸菌もしくは安定株細胞の構築に着手した。 1、変異体の作成 1アミノ酸(1塩基)置換のみでCMT病の発症が認められるものは、膜貫通領域を除くグルタチオンS-トランスフェラーゼと相同性の高い機能ドメインと考えられる領域に広く存在することがわかった。置換変異体の作成には、それぞれの変異に相当する1塩基置換をもったプライマーを用い、PCRによりマウスGDAP- 1の遺伝子に1塩基置換を導入した。その後、シークエンサーで配列を確認した。 2、大腸菌でのGDAP-1変異体の発現 発現用ベクター(pBAD/TOPO)に変異を導入した上記マウスGDAP-1を組み込み、6種類の1アミノ酸置換体をコードするpBAD/TOPO-GDAP-1変異体を作成した。今後これらの変異体タンパク質を精製し、活性 (例えば全長で認められたNADPHへの結合性等)の比較検討を行なう予定である。 3、安定細胞(Neuro-2a)でのGDAP-1および変異体の発現 導入するneuro-2a細胞は、あらかじめpcDNA6/TRプラスミドを導入し、テトラサイクリンリプレッサー(TR)を発現する安定株を作成した。TRタンパク質の発現レベルは抗体で確認し、3クローンを得た。さらに、発現ベクターpcDNA4/TOに上記GDAP-1プラスミドを組み込んだpcDNA4/TO-GDAP-1を作成した。各々を導入し、テトラサイクリン誘導でGDAP-1を発現するneuro-2a細胞を作成した。 現在、これら細胞を用いて経時的なテトラサイクリン誘導下での形態変化やATP産生をはじめとしたミトコンドリア活性の変化等を確認中である。
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