本研究課題の目的は、遺伝子改変マウス作製のため、マウス胚性幹細胞(ES細胞)から相同組換え体を効率的に作製する手法を確立することである。まず、ターゲティングベクター(TV)作製の効率化のため、BAC-Red/ETシステムとMultisite Gatewayを組み合わせたポリAトラップ型TV作製法の確立を研究協力者と共に行い、19年度中に実用化することができた。このポリAトラップ型TVによる相同組換え効率の上昇効果については、第30回日本分子生物学会年会においてポスター発表を行った。さらにプロモータートラップ型TV作製法も開発するために基本ベクターの作製を行っている。本研究に用いているC57BL/6マウス系ES細胞であるRENKAにおいてプロモータートラップ法の適用可能な候補遺伝子を選定するため、DNAマイクロアレイにより遺伝子発現プロファイルを作製する予定であり、その準備を行っている。相同組換え体のクローニングのためのネガティブ選別に用いるジフテリア毒素遺伝子の発現プロモーターの選定を行い、現在は主にCAGプロモーターを使用することで、安定して相同組換え体を取得することができている。相同組換え効率の上昇を目的として、相同組換え関連タンパクの発現ベクター導入と、NHEJ(nonhomologous end-ioining)関連タンパクのRNAiによる発現抑制の効果を検証しており、至適条件について検討中である。
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