研究概要 |
Cdk5/p35は分化した神経細胞で機能するSer/Thrキナーゼである。活性化サブユニットp35の限定分解産物であるp25がアルツハイマ-病患者脳で蓄積していることが報告されて以来,神経変性・細胞死におけるCdk5の機能について関心が高まっているが,いまだよくわかっていない。申請者らは小胞体ストレスによる神経細胞死の過程でp25/Cdk5が細胞質から核内に移行して細胞死を促進している可能性を見つけた。小胞体ストレスは小胞体内に異常折り畳みタンパク質が蓄積したことに対する生体防御反応であり,対応しきれない時は細胞死となる。Cdk5を阻害するとカスパーゼ3の活性化が抑制されたことから,Cdk5とカスパーゼ経路が関係していると考えられた。P25/Cdk5の核移行とカスパーゼの活性化を調べるため,培養神経細胞にアデノウイルスを用いてp25を発現させたところ,p25/Cdk5の核移行は見られず,カスパーゼ3の活性化も見られなかった。そこでp25を発現させた神経細胞に小胞体ストレスを加えたところ,p25の核移行が見られたことから,p25/Cdk5の核移行と細胞死促進には小胞体ストレスが必要であることが示唆された。
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