「研究の目的」に基づきEph-FGFR複合体の下流シグナル分子との相互作用を詳しく調べた結果、以下の研究成果を得た。 (1) 昨年度の研究でEph-FGFRの結合能に多様性が存在すること、および活性型変異体EphA4によりそれらの結合が阻害されることがわかった。引き続き研究を進めた結果、活性型変異体EphA4がEph-FGFRの結合だけでなくこれらの相互リン酸化をも阻害することを発見した。 (2) EphA4、FGFRの両方の下流にFRS2αが存在し、これらのFRS2αへの結合が一部競合的に独立していることを発見した。さらにそれら受容体によるFRS2αのリン酸化部位に相違があることを発見し、EphA4、FGFRによるFRS2αを介した独自のシグナル調節が行われている可能性を見出した。 Eph-FGFR複合体を介したシグナル伝達は細胞の増殖・分化、さらに遊走や形態変化にも関与している非常に重要な現象であるが、これらの研究成果より、各受容体間の結合に多様性があるだけではなく関係する下流シグナルの調節にも複雑に関与していると示唆された。これらのシグナルの解析は幹細胞研究の観点から非常に重要であるため、引き続き研究を進めている。
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