研究課題
小脳プルキンエ細胞特異的ペプチドとして同定されたセレブリンの機能は長らく不明であった。セレブリンの前駆体タンパク質であるCbln1分子が部分分解された後、セレブリンペプチド部分のみがプルキンエ細胞に移行するのか、あるいはCbln1分子そのものがリガンドとしてシナプス後部のプルキンエ細胞に働きかけるのかが、これまで不明であった。最近の申請者による研究結果から、哺乳類培養細胞系から得られたリコンビナント野生型Cbln1 (Rec Cbln1)が、培養プルキンエ細胞系や短期培養小脳スライス標本において、プルキンエ細胞樹状突起上に存在する神経棘に選択的に結合することが明らかになった(下写真参照)。この実験事実はCbln1そのものがリガンドであること、Cbln1受容体がプルキンエ細胞神経棘上に特異的に局在することをはっきり示している。一方、Cbln1欠損マウスから調整した培養プルキンエ細胞では、in vivoでの結果と同様に平行線維シナプスの低形成が異常所見として観察された。驚くべき事に、リコンビナント野生型Cbln1投与後約24時間でシナプス低形成が回復することを発見した。すなわち、Cbln1が非常に早く外的にシナプス形成を制御できる新しい分子であることを示唆する。これらの結果は現在論文投稿中である。Cbln1によるシナプス形成様式の解明にはその受容体と下流メカニズムの解明が欠かせない課題となる。申請者は、最近の研究結果からプルキンエ細胞神経線に局在するCbln1受容体候補を得、さらにこの受容体がCbln1によるシナプス形成において必須な受容体であり、機能的にCbln1シグナル系を担う因子であることを明らかにできた。また、Cbln1リカンド-Cbln1受容体によるシナプス形成経路は平行線維シナプス以外にも普遍的に存在するものであることを示唆するデータを得た。
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