研究概要 |
動脈硬化巣の不安定プラークの破綻による閉塞性血栓の形成は、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患の引き金となることが知られているが、このプラーク破綻のメカニズムは依然として不明な部分が多い。本年度、申請者は過去に自身が作成したプラーク破綻モデルを用いた研究により、プラーク破綻にはマクロファージや好中球のような炎症細胞と、それらの細胞由来のプロテアーゼ(MMPやカテプシン)が関与することを報告した。さらにスタチンやアンギオテンシン受容体阻害剤の薬剤投与が、動脈硬化巣での炎症細胞やその細胞由来のプロテアーゼを抑制し、動物モデルにおけるプラーク破綻を抑制することを報告した(Atherosclerosis 2008, 動脈硬化学会2008)。加えて、申請者は、他の研究者らが開発・発表したプラーク破綻モデル(Circulation 2005)を用いた研究においても、同様の結果を得た(動脈硬化学会2008, 名古屋Metabolic Syhdrome研究会2009)。 一方、申請者は更なる継続的な研究により、プラークの脆弱化・破綻には、そのプラークの炎症細胞(マクロファージ)におけるレニンアンギオテンシン系が関与していることを示唆する結果を得ており、今後の研究の課題と考えている。
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