研究概要 |
小型魚類であるゼブラフィッシュは優れたモデル動物として盛んに用いられているが、近交系がなく、この点が遺伝学を適応する上で大きな弱点となっている。そこで本課題ではゼブラフィッシュの近交系の樹立を目指すと共に、ゼブラフィッシュにおける近交退化の強さを見極めることを目的としている。 近交系は野生型のIndia系統およびTubingen系統の2系統から樹立を試みている。昨年度、14世代目あたりで近交退化の兆候が認められたTubingen系統については、当該年度に(1)13世代目のペア数を増やす、(2)11,12世代目から新たなペアを作成する、などの対策をとったが、残念ながら魚の加齢に追いつかず、採卵できなくなり絶えてしまった。India系統については、Tubingen系統の近交退化の経験を元に継代ペア選択のストラテジーに修正を加え、14世代目から16世代目の兄妹交配を行った。個体サイズが小さく、採卵バッチによっては浮腫や受精後1ヶ月程度での致死が高頻度におこるなどの問題が出ており、適切な飼育条件がより狭くなっている感がある。しかし、飼育条件さえ合っておれば順調に継代できている。また、昨年度までに設定した各染色体につき2個の遺伝マーカーセットにより、13世代目以降は毎世代にて遺伝的モニタリングを行なった。その結果、コンタミネーションもなくホモ化は順調に進み、15世代目個体においては1マーカーを除いてホモ接合となっていることが確認できた。
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