| 研究概要 |
霊長類のES細胞は,マウスES細胞と異なる性状を有している。たとえば,ES細胞を継代するときに細胞を単離してしまうと,霊長類の場合,ES細胞は新たなコロニー形成が困難になる。本研究ではカニクイザルES細胞のコロニーの特性を明らかにし,品質を維持しながら継続培養する方法を確立することを目的としている。
本研究で用いたES細胞は当センターで樹立したカニクイザルのES細胞(TRSK-1)であり,テラトーマ形成能や細胞表面マーカーから未分化細胞であることが確認されている。酵素を用いて細胞を単離した場合,コロニーの形成は認めなかった。コロニーをピペッティング等で大まかに分離したときにはコロニーが形成され,半年以上にわたって継代が可能であることが確認された。単離した細胞とコロニーとしてのES細胞の相違点を明らかにする必要がある。また,コロニーから胚様体を形成し,レチノイン酸による人為的誘導で神経細胞に分化させることに成功している。
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