研究概要 |
本年度は前年度に挙がったシステムの問題点を修正すると共に, 効率的に試料を観察できるようにシステムのユーザーフレンドリー化を行った. システムの修正としては, 前年度に問題となった試料走査システムに存在する20nmの振動の対策を行った. 振動は試料ホルダーの剛性の低さと構造に起因すると考え, ホルダーを新たに設計し直した. その結果, 振動は測定下限以下に抑えることに成功し, 超高分解能システム構築への見通しが立った. また, システムの制御プログラムをシステム開発者だけではなく広く使用可能であるようにユーザーフレンドリー化を進めた. その結果, 可視顕微鏡からの画像をPCに取り込み, その画像上に測定領域を指定するだけで容易に見たい場所を観察できるシステムを構築した. 医学・生物学応用に向けて, ヒト培養細胞の核にCdSeをラベルし, 凍結乾燥処理を行った試料を作製した. 観察の結果, CdSeからの発光をマッピングすることに成功した. 現状では, 感度と測定時間の都合上, 500nm分解能までを行ったが, X線ビームは30nmまで集光可能であることから, 今後30nm分解能を持つ顕微鏡システムを開発することが可能であるとの見通しを立てることができた. 本研究の成果用いて, 細胞を高分解能に観察することが可能となるだろう. 高分解能で細胞観察できるようになれば, 医学応用につながり, 広く国民の健康増進につながることが期待される.
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