研究概要 |
本研究は,様々な光イメージング,例えば,共焦点レーザ走査型顕微鏡,多光子顕微鏡,第2高調波(Second-harmonic generation:SHG)顕微鏡に代表されるような深さ分解能を持つイメージングシステムで,さらなる深部観察をするために,生体内に超音波干渉を起こさせて,それにより生体内の不均一さによる散乱の効果を平滑化し,深部イメージングの視感度(Visibility)を向上させることを目的としている。今年度は,そのための基本的な知見を得るための実験(生体内振動の光イメージングへの影響と光と音響波の相互作用の解明に関する実験)を行なった。生体散乱体のダミーとして,散乱板(オパール光拡散ガラス)を顕微鏡対物レンズとイメージングターゲットの間に置いて,散乱板を振動させることによって,得られるイメージの視感度が向上するかどうかを調べた。イメージングターゲットとしては,HE染色されたラット脳の切片を用いた。その結果として,散乱板を振動させた場合と振動させない場合とを比較すると,視感度が散乱板を振動させた場合の方が向上することが明らかとなった。これは散乱体として用いたオパール光拡散ガラスの不均一さが振動させることにより,均一化されるためであると考えられ,原理的に提案している方法が深部イメージングに有効であることを示した。今後としては,今年度得られた結果を活かし,超音波発生のためのパラメータの最適化,様々な光イメージング技術や様々なターゲットへの応用を考えていく予定である。
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