研究概要 |
本研究では機能性バルブレスマクロポンプの創製を目的とし, 以下の2つに大別に研究を行った. (1) 円筒型PZT素子およびシリコンチューブで構成したシンプルな形状を有するマイクロポンプの流動機能実験, および小型化を目的とし, スパッタリング法を用いたPZTの薄膜創製条件の探索. (2) 小型測定システムの開発を目指し, 2電極法による電流測定法を提案し, 過酸化水素を用いて測定システムの検証を行い, 電極反応モデルを用いて理論電流値の算出を行った. その結果, 以下の知見を得た. ●初期流速1.00ml/s, 電圧80Vppにおいて,電圧をマイナス側へオフセットすることで, 最大5.91%の流速の増加を確認した. また, 管内に流れる流体の速度に影響されず進行波により一定流量の流体を液送可能のであると示唆された. さらには動粘度の高い流体を用いた場合においても周波数と電圧の条件を変更することにより流速の制御が可能であると示唆された. ●電極にイオン化傾向の異なる物質を用いた結果, 濃度0〜5[mmol/l]範囲において過酸化水素濃度の増加に伴い電流値が直線的に増加したことから, 2電極法による測定が可能である. 過酸化水素濃度0〜5[mmol/l]の範囲において, α=0.40, k^<o>=8.07×10^<-35>[cm/s]を用いることで,理論式を用いた過酸化水素濃度の算出が可能である. ●PZT全面方位およびPZT(111)が成長するPbO添加量および熱処理温度の最適値は51.8mol%, 602℃および52.3mol%, 619℃であった. Au/Cu管材上に最適条件で成膜されたPZT薄膜は, 熱処理を施すことで管材に対して垂直に結晶成長するが, 管材の組織変化の影響を受ける.
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