研究概要 |
本研究の目的は, 日常生活での他者や環境とのインタラクションにおけるユーザの身体および心理状態の客観的計測を可能とする装着型人間計測システムの開発である-2008年度は, 早稲田人間計測システム(WB-3:Waseda Bioinstrumentation system No-3)の開発を行った. このシステムは次の2つの計測装置から構成される. a)モーションキャプチャ : 全身(頭部, 胴体, 腕部, 脚部)の運動計測. b)生理指標計測 : 胸式, 腹式呼吸, 発汗, 脈波, 心電. これらを組み合わせて, 人間の心理状態の計測を可能とする. 2007年度に開発した人間計測システムWB-2は, 性能は十分だったものの, 大きさから実用には向かなかった. そこで2008年度は小型慣性測定装置(lMU)を開発した. これは小型(20x20[mm])かつ軽量(2, 9[g])で3軸加速度センサ(LIS3LVO2DL), 2軸レートジャイロ(IDG300), 1軸レートジャイロ(LSIY300AL), 3軸地磁気センサ(HMC584)を内蔵している. 医療器具にも装着でき, 外科医の自然な動きを妨げることなく計測できるうえ, IMUの分解能を15[deg]から1[deg]と高精度化したことでより信頼性の高い計測を実現した. 2008年度は高度な手技が必要とされる外科医の手技の中でも, 特に難易度の高い神経外科医の基本手技であるピックアンドプレースの評価を行った. また20個のIMUと生理指標計測システムを内蔵した測定スーツも改良し、軽量化(総重量は900[g]. -40%)により着用時間の大幅な短縮(着用時間は12[min.], -70%)を実現した. 2009年度はさらにグローブも開発中である.
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