研究概要 |
本研究では, 脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血管内病態の一つである不安定プラークの画像診断能向上を目的として, 生理学的画像情報と解剖学的画像情報の高精度精度重ね合わせの開発を行っている。核医学的手法であるPET(Positron Emission Tomography)やSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)では, 不安定プラークと相関性の高い炎症部位に特異的に集積する放射性薬剤を用いて, 不安定プラーク発現部位の生理学的情報を得ることが可能である。MRI (Magnetic Resonance Imaging)では不安定プラークとその周囲の血管の解剖学的情報を得られる。 1. 核医学的手法画像とMRI画像の重ね合わせ手法に関する成果 小動物病態モデルを対象とする点線源を用いた重ね合わせ手法の開発を行った。マウスを対象とする点線源埋め込み型の固定具を開発した。SPECTおよびMRI画像から, 点線源(モダリティ毎に4点)の位置を検出した。その座標を用いて, SPECT画像とMRI画像をそれぞれ共通の基準座標系へ幾何学変換し, 重ね合わせを行った。マウス4例を対象として行った実験では, 重ね合わせの誤差(平均2乗平方根誤差)は, SPECTに関して0.5±0.2mm, MRIに関して0.4±0.3mmの良好な結果を得た。点線源のプロファイルから, これらの実験における撮像および画像再構成条件での実効空間分解能を推定し, SPECTにおいては7.4±0.4mm, MRIにおいては0.9±0.5mmという結果を得た。 2. 実験動物の頸部を対象とした不安定プラークモデル作成法の検証 前年度に続き, 総頸動脈内膜剥離処置による不安定プラークモデル作成についての検討を行った。処置6か月後に処置側の右総頸動脈と健常側の左総頸動脈の病理学的検討を行った。処置側の右総頸動脈の内皮が肥厚し狭窄が発生していること, および組織変性が確認された。
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