研究概要 |
本研究は,in vivoのメカニカルストレス環境を模倣した培養システムの開発,および規則的構造体を有するエラストマー担体を用いた細胞培養による力学刺激量の最適化を目的としている. 本年度は,メカニカルストレス培養装置(メカニカルスティミュレータ)に用いる規則的構造体を有する3次元担体の設計・開発を行った.設計・開発指針として「(物理的情報が入手しやすい)規格化された構造」,「顕微鏡観察に有効な透明性」,「外部刺激を与えやすい弾力性」を挙げた結果,規則的構造体を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)製3次元担体の作成を達成した.作成したPDMS担体は有効な多孔性・孔率を備えおり,担体内部への細胞接着・増殖が蛍光顕微鏡観察により伺えた.また,PDMS3次元担体を用いたメカニカルストレス培養を想定して有限要素解析を行った結果,担体内部の力学情報およびその場細胞へのひずみ量を同定することができた.しかしながら,担体のポアサイズは500ミクロンと大きく,次年度以降の検討課題の1つである. 19年度に作成したPDMS3次元担体,およびそれから得られた生物学的情報・力学情報は,in vivoのメカニカルストレス環境を模倣した培養システムを構築していくうえでの重要な基礎データをもたらした.20年度はこれら力学情報と細胞の生物学的評価を相対的に比較・検討し,細胞分化誘導を促す力学刺激量を最適化していく予定である.
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