研究課題
ヒト中皮細胞株を用いて、足場がなく細胞だけで構成されるヒト中皮細胞シートの作製に以前成功した。このシートを用いた腹膜線維症の治療法が可能か否かを検討するため、腹膜線維症部分への中皮細胞シートの付着を検討した。グルコン酸クロルヘキシジンの腹腔内投与により作製した腹膜線維症ヌードマウスの腹膜上にヒト中皮細胞シートを移植した。ここで、マウス(体重約20g)の腹膜での移植部位は、10mm×10mmと非常にその面積が小さいことに加え、作製した細胞シートの強度が弱いため、その移植操作に工夫が必要であり、試行錯誤を重ねた結果、移植を可能にした。移植後、1週間でも細胞シートの存在が確認された。この結果は、腹膜線維症部分に中皮細胞シートの移植が可能であること、ならびに異種間(マウスーヒト細胞株)において少なくとも1週間は評価が可能であることがわかり、今後の研究の進展に於いて、非常に重要な知見を得た。一方、強力な再生因子であるとともに、線維化解除機能を有するHepatocyte growth factor (HGF)遺伝子導入においては、提供されたHGFcDNAプラスミドにネオマイシン耐性遺伝子を導入し、現在、導入したプラスミドの配列を解析中である。ネオマイシン耐性遺伝子が導入されることで、ネオマイシンにより導入された細胞の選別(ネオマイシン含有培地で、遺伝子導入された細胞だけが生存できる)が可能になり、HGF遺伝子導入の細胞作製を行なう上で非常に重要な過程が達成させた。
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Hepatogastroenterology 54
ページ: 101-107
HDF療法'07 63
ページ: 192-194