研究概要 |
呼吸性移動に対応した腹部血管手術用三次元カテーテルガイドシステムの開発にあたり,まず血管造影画像もしくは透視画像において呼吸による体内臓器(この場合,腹部血管)の動きを補正する手法の開発が必要である.さらにそのためには,上腹部血管の呼吸性移動を解析する必要がある.つまり腹部血管の呼吸性移動を画像上補正するために,その補正方法のキーとなる事象を明らかにする必要がある.われわれは,肝臓が横隔膜に直接接していることから,横隔膜と腹部血管の動きめ関係を解析した.また,肝臓内部の腫瘍が呼吸による肝臓の変形により上下動だけでなく左右にも動くとの報告もあり,血管にも同様のことがあるのかを確認した. 解析は何らかの理由により息止めをさせず(できず)撮影した腹部の血管造影画像(時系列に連続した画像)2例を用いた.画像に写し出された各血管の分岐点に追跡点を設定し,呼吸により動く距離,および横隔膜の動きとの関係を解析した.その結果,上腹部動脈の動きは主に上下動であり横隔膜の動きに連動していた.左右の動きは2mm以内であった.これらの結果は,呼吸による腹部血管の動きは横隔膜の動きに併せることで補正できる可能性を示している.この研究発表では2例の結果であり,より一般的結果を得るため症例数を増やす必要がある.現在,協力施設よりさらに3例の画像データの提供を受け,これら全5例の画像データをもちいて解析し,まとめた結果を論文として投稿中である.
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