研究概要 |
術中使用型モーションキャプチャーグローブの開発:手術手袋へのマーキングは,指部と手の甲に行うこととした.指部分のマーキングパターン案として,骨に沿った直線状のものを数種考案した.指の根元から指先までを一本の直線のもの,第1と第2関節のところで分かれているもの,第2関節のみで分かれているものを用意し,ビデオカメラで撮影した.その結果,案1はマーキングの直線状態が維持しづらく,案3は曲げた時にすべてが隠れてしまう部分が多いことから,案2が最適であった.手の甲の2箇所には,指と区別でき,かつ向きの判定がしやすいものを検討した.結果,逆T字のものが適当であった.マーキングの記入は,外科手術時に皮膚に切開線を描く青系色ペン(AZWELL Inc.製 NESCO DERMARK)で行った.無害であること,影や血液,臓器と異系色であることが,本使用に適していた.黒色だとエッジ抽出の段階でマーカーと影の境界が消えてしまった.これに対し青系色は,色相画像に変換して処理することで,マーカーのみを抽出することに成功した.しかしながら,手の向きや姿勢,手袋の伸びや歪みによっては,マーキングが検出されないこともあった.そこで,画像処理に適したマーキングとして,指関節部分に直径1cmの黒円(塗りつぶし,つやなし)を,手の甲に1辺3cmの正方形黒色樹脂製ボードを貼り付けたものを採用した.これにより,手の向きや姿勢,手袋の伸びや歪みに影響されないマーキング検出が可能になった.
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