研究課題
一般にPETでは511keVのガンマ線を止めるために実効原子番号が高いLSOやGSO等の無機シンチレータが主として用いられる。一方、LaBr_3等の実行原子番号は比較的低いが時間分解能やエネルギー分解能が極めて優れたシンチレータが近年になって開発され、高性能PET用シンチレータとして期待されてる。しかしながら、これらのシンチレータはTOF情報等の付加情報を用いなければ高感度計測には不向きである。我々のグループでは3次元検出器を用いて上層(被験者に近い方)のシンチレータを散乱線の吸収体とみなすことによって下層のエネルギーウィンドウを広げ、装置感度を高める手法(DEEW法)を開発した。従来のエネルギーウィンドウ法ではウィンドウを広げて感度を上げてもそれ以上にノイズが増えてしまうため、画質は逆に悪くなってしまう。DEEW法はノイズの増加を低減しつつ感度を上げるため画質改善に寄与できると考えられる。これまでに行ってきた全身用GSO-PET装置を模擬したシミュレーションの結果から、本手法を用いれば10から25%の感度向上を見込めることが期待できる。実行原子番号が低いシンチレータではコンプトン散乱の確立が高いためGSO等の実効原子番号が高いシンチレータよりも高い感度向上が見込める。LaBr_3を用いた全身用PET装置を模擬したシミュレーションを行った結果、DEEW法を用いれば40%以上の感度向上が確認できた。
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Nucl. Instr. Meth. A 594
IEEE Trans. Nucl. Sci. 55
ページ: 2475-2481