研究概要 |
本年度は, 昨年度作製したPDAの形状がノートパソコン上に表示される機器を用い, 4種の異なるマッチング課題を比較することにより. どの程度の発達年齢であれは当該機器を便用可能か否かに関して検討した. 対象は, 自閉症と診断を受けた3歳6ヶ月から5歳7ヶ月の男児(平均月齢53.0±10.0ヶ月)4名である. 発達年齢は, 津守式乳幼児精神発達質問紙の下位項目である理解・言語が24ヶ月以上かつ発達年齢「余暇」の名詞シンボル10パターンの計40個. そして下部に2分割された「対義語」シンボル7パターンが30.5ヶ月以上の児である. 機器は, PDA上部に4分割された「食べ物」「飲み物」「乗り物」「場所」の計14個のシンボルが内蔵されている. つまり, 上部と下部それぞれの画面が「矢印ボタン」を選択することで, 左右にそれぞれ独立してスクロールする設定である. 今回の実験では, 上部のみの表示または下部のみの表示の一画面表示で実施した. 課題は, 1)視覚提示における同じ画面上シンボルのマッチング10門, 2) 言語指示における同じ画面上シンボルのマッチング10門, 3)視覚提示における違う画面からのマッチング4門, そして4) 言語指示における違う画面のからのマッチング4門, の4課題である. 採点は, 1回目で正解は2点, 2回目で正解は1点, 不可は0点とした. 結果, 4課題における各平均得点は, 1)1.9±0.5, 2)1. 7±0.6, 3)1.8±0. 6, 4)1. 6±0.8であり, すべての課題におけるマッチング得点に有意な差を認めなかった. 理解・言語の発達年齢が24ヶ月以上の自閉症児は, 1つのシンボルつまり一語の選択であれば「矢印ボタン」を操作して違う画面から目的とする画面を探し出すことが, 視覚提示, 言語指示ともに可能であった. このことは, 当該年齢以上の児は, 機器使用の可能性があることが示唆された.
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