研究概要 |
本研究は明碓な冶療法の確立さわていない中枢性麻痺に伴う関節拘縮の原因となる関節構造内の変性を明らかにすることを目標として行った。申請者はとれまでの一連の研究活動により,筋の変性と同様に関節構造内の変性が重要であることを報告しできた。関節拘縮は,麻痺筋の変化により生じると考えられてきたため,筋の変化に関しては多くの報告があるが,関節構造内の変性については明らかになっていない。そこで,研究期間初年度である当該年度には,関節構造内の変性の局在を明らかにすることを目的とした。脊髄損傷動物モデルを対象に,関節構造内の変化の局在を,組織形熊計測的・免疫組織化学的・生化学的手法を用いて分析した。その結果,関節内結合組織では,後方関節包が密性化し不規則になり,滑膜長が後方関節包でのみ短縮した。また関節軟骨では,軟骨厚が脛骨と大腿骨後方で減少し,大腿骨前方で増加した。軟骨細胞数は前方で減少し,軟骨基質の染色性は脛骨で減少した。II型およびI型コラーゲンの局在の異常も認められな。これらのことから,脊髄損傷後の関節構造内の変化は,機械的刺激と神経組織の影響では説明できない特異的な影響により生じると考えられた。対象が硬組織の関節構造であることから,これまでの組織学的分析では,免疫組織化学的分析等に制限のあるパラフイン包埋と樹脂包埋により標本を作製せざる得なかった。現在より実験手法の選択枝が広がる非脱灰凍結標本を作製する準備を整え,研究期間最終年度である次年度に向け,当該年度で明らかとなった変化の局在に焦点を紬り,中枢性麻痺に伴ろ関節拘縮の原因となる関節構造内の変性の解明を進めている。
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