研究概要 |
<具体的内容> 脱神経後の骨格筋で生じる線維化の形成メカニズム解明を目的とした。脱神経後3,7,14日のヒラメ筋でのTGF-β1タンパク発現の変化についてELSAを用いて調べた。その結果、無処置の対照群に対し脱神経後3日で109%、7日で123%、14日で158%と時間依存的に増加した。さらに、脱神経筋で発現するtype Iおよびtype III collagen mRNAの発現をリアルタイムPCRで調べたところ、type I collagenでは変化が見られなかったものの、type III coUagenは脱神経後3日に25%に有意に減少した後、7日で60%、14日で75%と回復した。type III collagen/type I collagenでは、脱神経後3日で56%に減少した後、7日で155%、14日で182%に増加した。さらに、type Iおよびtype III collagenの免疫組織化学を行なったところ、脱神経後7日で筋周膜や筋内膜でtype Iおよびtype III collagenが増加し、14日でさらに著明となった。 <意義・重要性> 脱神経後のTGF-β1の発現について、脱神経直後から線維化に至る早期過程での経時的変化を今回初めて解明した。さらに、TGF-β1の発現の変化と同時期にcollagenの変化も生じたことから、TGF-βがcollagenの発現増加や分解抑制に関与することが示唆された。
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