磁気共鳴画像法(MRI)を用いた骨格筋の横緩和時間(T2値)算出における高速撮像法の活用について、高速撮像法(スピンエコー・エコープラナーイメージング:SE-EPI)を用いたT2値計測は可能であり、撮像時間の大幅な短縮は可能であることを前年度の研究にて明らかにできた。今年度は、それらの知見を用いて、実際に骨格筋の活動様相評価法の確立に関する検討を行った。具体的な検討項目については以下に列記する。 (1)活動様相評価法の確立のために必要な"解剖学的情報"と、"筋活動による機能的情報"の同時表示が可能な画像処理法の提案。(2)洗行研究で多用されている撮像時間に数分間要するスピンエコー法(SE)もしくはマルチプルスピンエコー法(MSE)(以下、従来法)と、本研究で提案する高速撮像法を用いた方法(本手法)との比較検証(対象部位としては下腿部骨格筋を使用)。(3)(1)および(2)の結果を踏まえた体幹部深部筋の活動様相評価法の確立に関する検討。 (1)については、核医学の分野で多用されている融合画像(fusion image)の技術を用いることで新たな手法を提案できた。(2)については、前年度に得られた"高速撮像法を用いたT2値算出のための撮像条件"により、従来法と本手法との間にはT2値に相違がないことを確認できた。(3)については、(1)および(2)の結果より、体幹部深部筋の活動様相評価法の確立に成功できた。画像の融合に関して、"解剖学的情報"を得るための画像と"筋活動による機能的情報"を得るための画像の特徴を活かすことで双方の可視化に成功できた。また、SE-EPIに特有の問題点である画像の歪みについて、後方に位置する筋では、ほぼ完全に解消することができた。
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