研究概要 |
高齢者の健康の維持・増進を図るために適度なレジスタンストレーニングの重要性が示唆されている.しかし, 筋機能の低下した高齢者がレジスタンストレーニングを行うには, 各個人の健康状態や運動能力を考慮した上での最適なトレーニングプログラム設定および機器選択が必要となる.本研究では, 高齢者の運動能力に配慮したレジスタンストレーニング手法の確立を支援すべく, 筋の詳細な筋機能情報を獲得することにより, レーニング時の筋活動状況や筋疲労状況を的確に把握し, その情報を定量値として訓練者にフィードバックする"運動機能評価システム"の開発を最終目標としている. 本年度は, 若年者と高齢者の筋活動の相違点について調査を進めた.大腿四頭筋(外側広筋)の中程度(50%MVC)の等尺性収縮において, 筋電図の振幅量および中央周波数は, 若年者群と高齢者群で差は認められなかった.しかし, 筋音図の振幅量および中央周波数は, 若年者群よりも高齢者群で低下した.これは, 加齢による筋萎縮および速筋線維の選択的減少を反映した結果であると推測され, 非侵襲敵な筋組成の推定において, 筋音図が有効であることが示唆された.今後, 筋電図および筋音図の諸特性から運動負荷レベル毎の筋活動度や疲労度を推定し, 訓練者にその情報をフィードバックする筋機能評価システムの開発を進める.
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