研究概要 |
リハビリテーション(以下、リハ)分野において、的確に訓練プログラムを決定し効果を判定するため、姿勢変化の定量解析が非常に重要である。一方、高齢者の活動性維持や寝たきり防止のためのフィットネスにおいても、動作や活動の特徴を追跡できれば、効果判定やモチベーション維持に有用である。そこで本研究では、姿勢変化や活動シナリオ等をいつでもどこでも計測可能なシステムを開発し、リハ支援・寝たきり防止・健康支援プログラム構築を行っていくことを目的とする。平成19年度は、新たに無線型システムの開発を行うと共に、病院施設におけるリハ患者等を対象としたフィールド試用・評価を実施した。 まず計測システムについては、3軸加速度センサ、1軸ジャイロセンサ、無線送信機を内蔵したセンサユニットを開発した。センサユニットの出力は無線により解析装置へ送信可能であり、システム使用者が煩雑な操作を行うことなくデータ解析が可能である。また、本センサユニットは同時に複数台を稼動可能であり、体幹・大腿・下腿にそれぞれ装着することにより、姿勢変化の詳細な特徴を検知可能とした。なお、本ユニットは単体で動かすこともできるため、計測したい部位一箇所だけに装着するといった簡易的な使用も可能である。 次に本計測システムを用いて、脳卒中片麻痺患者を対象とし,1週間に1度の歩行動作計測を実施し,訓練効果の定量評価を行うと共に,リハ支援のためのデータ解析・追跡プログラムの開発を行った.この結果より、本システムは非常に詳細な歩容の変化が定量的に確認・追跡でき,目標としていた訓練効果が本当に現れているか判定する上で非常に有用であることが確認された. 今後は病院施設における患者だけではなく、高齢者をはじめとした様々な被験者において計測・評価を行い、センサシステムや解析アルゴリズムの改良を実施していくと共に、健康支援への応用を検討していく予定である。
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