研究概要 |
本研究の目的は,生活環境を観測・制御可能な空間型インテリジェントシステムを構築し,人間の生活パタンを管理・調節することである. 目標とするシステムは,ユーザーに装着したウェアラブル型センサ(脈波,加速度,体表面温度)と,環境型センサ(マイクロフォン,電磁波センサ,映像,温度,照度)により構成し,得られた生体情報と行為情報および環境情報をワイヤレスセンサネットワークを介しシステム側にて統合する.次に,構築したシステムで観測される日常生活環境における人間に対する入力刺激(温度,運動,脳負荷)に関する生体リズムモデルの特性パラメータ(位相反応曲線)を臨床実験により獲得し,これに基づいた生体リズムの変動の予測と制御を実現する. 本年度は,これらの研究計画の上半期に相当し,生体情報取得デバイス構築とユーザー行為の認識に関するロボットエージェントの構築とユーザ行為認識アルゴリズムに関し,研究を進めた. まず一点目の成果は,生体情報収集と睡眠状態の生体に対して起床時期制御が可能なデバイス:BRAC(Biological Rhythm based Awakening Controler)の試作3号機を製作したことである.BRAC3では,SDカードを搭載したことにより,長時間のデータ収集が可能となった他,筐体の小型化(従来品:本体10x10x2[cm]+バッテリー2x2x7[cm],BRAC3:5x6x2[cm])により睡眠中の被験者への違和感の低減を実現した. 次に,二点目の成果として,睡眠中のユ一ザーの状態を観測するロボティックエージェントの製作により,赤外線カメラを用いたユーザーの姿勢推定を実現し,BRAC3のみでは得られないユーザの行為情報やユーザの環境情報の取得を可能としたことが挙げられる. 具体的には,ユーザーと環境を共有するロボットが,「環境」および「ユーザーの姿勢・行為」を認識するために必要な概念構造"Cognitive Ontology"の提案および仕様定義を行った.また,このCognitive Ontologyを用い,ユーザーをとりまく屋内環境において,画像認識によるユーザの姿勢・行為の自動的な文章化を実現した.
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