研究概要 |
本研究では,覚醒と睡眠を中心とする人の生活パタンをウェアラブルコンピュータおよび外部に設置したネットワークロボットをリンクし観測・管理するシステムの構築を行った.人の生活中での活性パタンは,一般には脳内視交叉上核で生成される生体リズムに基づき,自律神経系の活動を通し覚醒と睡眠を中心としたパタンとして表出すると考えられる.そこで,本研究では,生体リズム推定および起床信号送信が可能な腕時計型のデバイス(BRAC : Biological Rhythm Awakening Controller)の開発を行った.BRACでは,継続的な長期脈波の計測とRR変動解析が可能であり,RR変動情報に対して複数の生体リズム周期を抽出することで,生体リズムとしての自律神経系活動のリズミカルな変動の推定と予測を端末内で算出することができる.また,外部に設置したネットワークロボットでは,BRACが推定し送信する生体リズムを無線通信経由にて受信する他に,画像認識による入眠・起床の認識が可能なアルゴリズムを実装した.これにより,生体リズムのみでは特定できない入眠・起床タイミングを認識し,人の自律神経系に基づいた生体リズム変動と人の睡眠・起床パタンとを対応付けることにより生活パタンを推定し管理することができるシステムを実現した.BRACにより推定される生体リズムは,終夜睡眠ポリグラフィとの比較を行い,有意な相関が見られることを実験的に確認した.また,BRACによって推定される生体リズムに基づき,リズムの活性度が高いと判断されたタイミングにてユーザの起床時期をコントロールした結果,BRACによって推定される生体リズムと起床後の立位平衡機能との間に有意な相関が示され,自律神経系に基づく生体リズム推定に基づいた安全な起床時期制御が可能であることが示唆された.
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