研究概要 |
片麻痺患者の歩行には,同年齢の筋力の20%程度しかない底屈筋及び背屈筋の筋力低下が大きく影響を及ぼしている。足関節の筋力低下は、立脚期に過度の下腿の前傾や後傾を生じさせるため、片麻痺患者の歩行中の膝関節角度に影響し、歩行効率を低下させる.したがって、下腿筋の筋力低下は歩行速度の回復を阻む重要な原因となっているのではないかと推測される.これに対して、下腿の支持性を下肢装具が補償できれば,歩行機能回復の促進に有効となる可能性がある.本研究の目的の一つめは,歩行中の前脛骨筋の機能である踵接地時の遠心性収縮を油圧制動装具で補償することにより、片瞬痺患者の歩行にどの程度の歩行速度の変化を起こせるかを明確にすることである。さらに、二つめの目的として、油圧制動装具を効果的に使用するために必要な運動機能をトレーニングによって改善させることができるかを無作為割付による対照試験で明らかにするととである。本年度までの結果、油圧制動装具は片麻痺患者の歩行速度を15-20%程度増加させることが可能であった。この装具による歩行速度への利得は、装具使用により歩行中の腓腹筋筋活動量増加させることができるものにおいて顕著であり、底屈筋の筋力をよりよく発揮できることが重要であると考えられた。
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