研究概要 |
本研究では, 自閉症と呼ばれる他者とのコミュニケーションが苦手である子供たちを支援するためのヒューマノイドロボットを用いたセラピー過程を開発している. 自閉症が苦手であるコミュニケーションやジェスチャーの方法を学ばせる際に, 共同注意と呼ばれる両者が同時に同じ対象に注意を向ける行為や, 相手の動作を模倣することが非常に重要であるとされている. そこで, 自閉児の共同注意および動作模倣能力を向上させるためのロボットシステムを開発した. 共同注意においては, ロボットと自閉児が机上に置かれた複数の物体をはさんで対面した状態で, ロボットが指差しと頭部の回転動作を用いて指定した物体に自閉児の注意を向けさせるロボットと自閉児の共同注意システムを開発した. このシステムを用い, 養護学校と自閉児の親御さんの協力を得て5人の自閉児に対して共同注意の実験を行った. はじめのうちは隣についている先生が, 自閉児に対して指示を行うことによって共同注意ができていたが, 回数をこなすうちに課題の内容を理解し, ロボットの動きに注目しながら先生の指示なしで共同注意を行えるようになった. 動作模倣においては, 体操のような音にあわせた動作を課題として与え, ロボットと自閉児がそれぞれ模倣を対話的に行うことによって, 動作模倣能力やコミュニケーション能力の獲得につながると考えた. そこで, ロボットが自閉児の動作を模倣するためのアルゴリズムを提案した. このアルゴリズムは, 1対のステレオカメラと色マーカを用いて人間の動作データを取り, ロボットを動かすための滑らかな動作を再生成することができる. このアルゴリズムによって, 人間が動作した後すぐにロボットが模倣することができた.
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